2014/03/25

小野竹喬展 / 自然へのまなざし


「小野竹喬展 / 自然へのまなざし」

会期:2014年4月26日(土)~5月6日(火

12:00-18:00 会期中無休


このたびカホ・ギャラリーでは、「自然へのまなざし / 小野竹喬展」を開催いたします。


「虚心になると自然は近づいてくる」


小野竹喬は生涯を風景画家として、

画室から眺める庭の木々や空や雲など、

身近な自然の風景を題材にして、

明るく澄んだ色彩と平明で簡素な構成の作品を描いてきました。

その作品は清々しく瑞々しさに溢れ、

晩年になっても枯れることはありませんでした。

枝ぶりの美しい落葉樹やその向こうに見える茜空、流れ行く雲、

誰もが気に留めず通り過ぎていく美しい自然を、

さりげない自然の表情を、

竹喬はそのまなざしによって見逃すことなく捉え、作品に昇華していきました。


「この年齢になって、日本の風土のもつ有難さが、

しみじみとして、身辺に漂うてゐるような気がするのであるが

これは日本特有の四季の変化と、かかはりがあると思ふ。

日本の風景は、どこに行っても、雄大といふには、少し遠い感じであるが


それなりに題材としては困らない

風景の中にある香りのやうなもの、

それを捉へるにはさりげない目立たないものでも、一向差支へないやうである。

日本の自然は美しい。


私は倦くことなくそれを描きつづけたい。

そしてそれは、いつも創造の世界でありたいと念ふことなのである。

あまりにも、日常の繰り返しに、絶えず自己否定をつづけてゐる自分を感じることは

善意に解釈すると、明日への希望をつなぐ、かけ橋かも知れない、と思ふのである。」

(『日本の風土』より)


明治22年、岡山県笠岡市に生まれた竹喬は、

14歳の時に京都に出て竹内栖鳳の門に入ります。

明治44年に京都市立絵画専門学校を卒業、

大正7年には日本画の新しい表現を模索するため土田麦僊、村上華岳らと国画創作協会を結成します。

大正10年渡欧、約1年のヨーロッパ旅行で、

竹喬はそれまで求めていた西洋的写実から、

東洋絵画における線の表現を再認識することになりました。

昭和3年の国画創作協会解散後は帝展に復帰、以降、文展、日展を活躍の舞台としました。


昭和14年頃より、竹喬はそれまでの線描と淡彩による南画風の表現から、

色面による対象の把握と日本画の素材の良さを素直に活かした大和絵的表現へと変わっていきました。

この変化は、その後の竹喬作品の方向性を決定づけ、

竹喬作品の特徴である、おおらかで単純な形と温雅な色彩による表現を深めて行きます。

そして「風景の中にある香りのようなもの」を捉えるために竹喬は虚心になって自然と向き合い、

独自の世界観を確立して行きました。

今回の展覧会では、没後35年にして初公開となる10点を展示いたします。

この機会に是非ともご高覧ください。



0 件のコメント:

コメントを投稿